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(No4) 仏像鑑賞のご案内その4 仏像の時代変遷  

 望月信成・佐和隆研・梅原猛共著の『仏像 心とかたち』(NHKブックス)では、古来日本人が仏像を鑑賞するにあたっては、いわば仏像を対象に自らの抒情詩を語る方法と、専ら様式に拘泥する二つの方法があったとしている。
 私が目指すのは、後者、すなわち様式論に限定するものである。
 「ほとけ」に仮託して自らの心情を語りたいのであれば、それは各自で大いにやっていただいたらいいし、私は別に自分の思いを押し付けるつもりもない。
 私は、とりあえず各仏像が何であるか見分けられたら嬉しいし、時代区分とか作者とかが判別できるとっかかりをお示しできたらいいな、と思っているだけである。

 では、仏像の基礎知識の「その4」。

参考文献 『鑑賞』→『仏像鑑賞の基本』(著:久野健。里文出版)ほか。





(1)  如来の服装

時代 特徴 画像
飛鳥  北魏式の服装(釈迦如来像:法隆寺金堂) HP「法隆寺をたずねて(金堂)」
『鑑賞』P51
白鳳  薄物のインド式の服装(阿弥陀如来像:法隆寺大宝蔵殿)  
天平  納衣をまとうだけの服装(毘盧遮那仏:唐招提寺金堂) HP「唐招提寺」
貞観  服装は変わらないが、胸が厚くきわめて膝高が高い(阿弥陀如来像:棲霞寺)  
藤原  服装は変わらないが、胸が薄く広く膝高が低い(阿弥陀如来像:平等院鳳凰堂) HP「平等院」

『鑑賞』P72

鎌倉  服装は変わらないが、胸は再び厚く盛り上がり、膝高も藤原時代に比べて高い(弥勒像:興福寺北円堂) HP「興福寺」

 



(2) 腰裳


時代 特徴 画像
飛鳥  衣文は抽象的(観音菩薩像=百済観音:法隆寺大宝蔵殿) HP「法隆寺をたずねて(大宝蔵殿)」
『鑑賞』図
白鳳  薄物の裳を通して脚部が感じられる(聖観音像:薬師如来東院堂)  
天平  衣の表現も、しわのあらわし方も自然に近くなる(十一面観音像:聖林寺) HP「聖林寺」
『鑑賞』P27
貞観  衣のしわには、丸い波と角の波とを交互に刻んだ飜波式衣文がみられる(十一面観音像:法華寺) HP「法華寺」
藤原  形式的に全く整った衣文(十一面観音像:観世音寺) HP「大宰府ミュージアム」
鎌倉  宋朝美術の影響をうけ、複雑に乱れるひだを写実的に表現する(聖観音像:鞍馬寺) 『鑑賞』P94




(3) 顔つき

 
時代 特徴 画像
飛鳥  面長(釈迦如来像:法隆寺金堂) HP「法隆寺をたずねて(金堂)」
白鳳  童顔(観音菩薩像:金竜寺)  
天平  頬がふくれ、成熟した大人を思わせる顔つき(不空羂索観音像:東大寺三月堂) HP「東大寺三月堂不空羂索観音像」
HP「不空羂索観音像」

HP「日本の国宝」
『鑑賞』P110
貞観  厳しく強い(薬師如来像:神護寺) 『鑑賞』P62
藤原  丸く円満になる(阿弥陀如来像:平等院鳳凰堂) HP「平等院」
『鑑賞』P72
鎌倉  強く、意志的な顔(大日如来:円成寺) HP「円成寺:大日如来坐像」
『鑑賞』P85



(4) 目の形
時代 特徴 画像
飛鳥  杏仁形(きょうにんけい)の目。※石野注 杏仁(あんにん)豆腐に使われる杏の核の部分のことではなくアーモンドと解すればいいのだろうか?(観音菩薩:法隆寺夢殿) HP「法隆寺をたずねて(夢殿)」
『日本の秘仏』(平凡社)P51
白鳳  目の形はやや長くなる(釈迦如来像:深大寺)  
天平  微妙な曲線をえがいた切れ長の目(月光菩薩像:東大寺三月堂) HP「東大寺三月堂月光菩薩像」
貞観  切れ長の強い目(阿弥陀如来像:広隆寺講堂) 『鑑賞』P71
藤原  上まぶたがふくれ、伏目がちになる(阿弥陀如来像:平等院鳳凰堂) HP「平等院」
『鑑賞』P72
鎌倉  形は藤原時代とあまり変わらないが玉眼が用いられるようになる(聖観音像:鞍馬寺) 『鑑賞』P94



(5) 唇の形

 
時代 特徴 画像
飛鳥  鋭い弧線を描いた唇。微笑(アルカイックスマイル)を浮かべている(観音菩薩像:法隆寺夢殿) HP「法隆寺をたずねて(夢殿)」
白鳳  形は天平時代に近づくが、なお微笑がある(釈迦如来像:深大寺)  
天平  引き締まった写実的な唇(不空羂索観音像:東大寺三月堂) HP「東大寺三月堂不空羂索観音像」
HP「不空羂索観音像」

HP「日本の国宝」
『鑑賞』P110
貞観  形はあまり天平時代と変わらないが強さがある(阿弥陀如来像:広隆寺講堂) 『鑑賞』P71
藤原  多少優雅なところが加わる(阿弥陀如来像:平等院鳳凰堂) HP「平等院」
『鑑賞』P72
鎌倉  藤原時代の唇に比べ写実味がある(聖観音像:鞍馬寺) 『鑑賞』P94

 


(6) 垂髪
時代 特徴 画像
飛鳥  いわゆる蕨の形をした蕨手(わらびで)の垂髪(観音菩薩像:法隆寺夢殿) HP「法隆寺をたずねて(夢殿)」
白鳳  多少写実味が加わる(観音菩薩像:東京国立博物館)  
天平  髪の毛筋までこまかく表現される(十一面観音像:薬師寺)  
貞観  類例が少ないが銅板でできた垂髪(十一面観音像:法華寺) HP「法華寺」
藤原  垂髪は著しく少なくなる。やわらかい表現をしている(十一面観音像:道明寺) HP「散策マップ(道明寺)」
鎌倉  垂髪を有する菩薩像は少ない。形式化したものが少しある(千手観音像:三十三間堂) 『鑑賞』P33



(7) 蓮弁座
時代 特徴 画像
飛鳥  素弁(菩薩立像:法隆寺大宝蔵殿) HP「法隆寺をたずねて(大宝蔵殿)」
『鑑賞』図
白鳳  胡桃形蓮座(観音菩薩立像:法隆寺大宝蔵殿) HP「法隆寺をたずねて(大宝蔵殿)」
『鑑賞』図
天平  蓮弁の先が尖る(十一面観音像:聖林寺) HP「聖林寺」
『鑑賞』P27
貞観  蓮弁が幅広になる(如意輪観音像:観心寺) HP「観心寺如意輪観音像」
『鑑賞』P113
藤原  蓮弁が薄くなる(阿弥陀如来像:法界寺)  
鎌倉  写実的な蓮弁になる(弥勒菩薩像:興福寺) HP「興福寺」



 
 整備中ですが、データベースは下から↓
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