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(No110) 大阪市立美術館 ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展 鑑賞記 その3

 2007年4月10日(火)〜5月27日(日)、大阪市立美術展にてフランス国立ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展が開催されている・・・・・の完結編。


10.洋風風景画

【洋風風景画】

 西洋の銅版画の強い影響を受け、その合理的な空間表現や陰影表現を木版で再現しようとしたものを洋風風景画と呼んでいます。
 19世紀初め、葛飾北斎が数種の洋風風景画シリーズを手掛け、その手法は柳々居辰斎(りゅうりゅうきょしんさい)や昇亭北寿といった弟子たちに受け継がれていきました。
 湧き上がる雲や額縁を意識した縁取りなど独特な雰囲気をもつ風景画です。

166 渓斎英泉 「鯉の滝登り」

  鯉の身のくねらせ方がキツイのだが、他の絵でもみられるので一種のパターン化したものなのだろう。(167 渓斎英泉 「藻中の鯉」でも、同様に鯉の下半身?が完全によじれた状態で描かれている)


168 歌川国芳 「忠臣蔵十一段目夜討之図」

 会場でも本作品の前で思わず立ち止まる人が多かった。
 図録解説にも「数多い忠臣蔵仇討の絵の中でも、本図ほど特異な作は他に例を見ない。抽象的ともいえる建物の洋風表現が目をひく」とあるが、これにはバタビアの町を描いたオランダ人の銅版画がモデルになっているそうだ。


11.摺物

【摺物】

 摺物(すりもの)とは、売り物の浮世絵ではなく、私的に制作されて知人に配られたもののことをいいます。
 商品ではないため、採算を考えず、有名な浮世絵師に頼み、高級な紙や絵具を使って制作されることもありました。
 そのように贅を尽くしてつくられた摺物は、当時の美意識の極みといえるものです。

 
155 岳亭五岳 「白梅に蟹」

 狂歌師文々舎蟹子丸が依頼したもの。蟹が描いてある。(←そのまんまやな)

 



12.団扇絵

【団扇絵】

 団扇絵(うちわえ)は、その名のとおり団扇に貼るための浮世絵です。
 浮世絵師により、役者、美人、風景、花鳥など様々なものが描かれ、夏の粋な装いの小道具として人々に喜ばれました。
 団扇絵は日常的に使われ、傷んだり飽きたりしたら貼り変えられてしまう消耗品なので、現存するものは少なく貴重です。

185 歌川広重 「六花撰之内 きくの花」

 



13.歌川広重

【歌川広重と花鳥画】

 浮世絵の世界で花鳥画がさかんになるのは、風景画と同じく天保年間(1830〜44)初め頃からです。
 古来、絵画や工芸の主要なテーマであった花鳥画が、浮世絵版画となることで庶民も気軽に楽しむことができるようになりました。
 なかでも広重は、短冊判と呼ばれる縦長の画面に、伝統にとらわれない構図や色彩で詩情あふれる花鳥画をたくさん描いています。


174 歌川広重 「京都名所之内 祇園社雪中」

 先日、祇園さん(八坂神社)にはお参りに行ったのだが、江戸時代はこんな感じだったのだろうか。
180 歌川広重 「月に雁」

 私も小学生の頃切手を集めていたが当時「月に雁」は「見返り美人」にならぶ人気だった。高額だったので、全く手が届かなかったが。

 これらの切手については、例えばここで。

 『ギャラリーフェイク』(細野不二彦。小学館文庫)第3巻の「馬鹿印のバカ一」で「月に雁」のことが取り上げられている。

 バカ一のセリフに「切手で数字のあるところには元の浮世絵には実はバカ印があるでごじゃる!」とある。

 その落款(バカ印)のアップが右写真。  

 なお、このバカ印は図録解説によると「福寿という吉祥文字を馬鹿の絵文字にアレンジしたもので、後世『馬鹿印』と呼ばれる」とあり、
176 歌川広重 「雪中芦に鴨」 にも押されている。

 会場出口近くに展示されていたのが

4 歌川広重 「隅田川月景」

 他の作品のように鮮やかな色彩は使われていない。

 構図もこれでいいのかな?と思う。縦長の絵なのだが、中央に舟。隅田川に浮かんでいるのだろう。舟の周りには芦。対岸に小高く繁っているのは松だろうか。

 中天に浮かんでいるおぼろげな月。全てが画面の真ん中に集中している。おまけに落款まで真ん中。

 でも、思わず立ち止まって「ああ・・・・・・・ええなあ・・・・・」とつぶやいてしまった。実に落ち着く絵だった。


  チラシのページをご参照いただいたらおわかりと思うが、会場で配布されていたチラシには深い皺がある。どれも三つ折りにして卓上に置いてあった。
 掲載されている作品の真ん中で折り曲げてしまうことに抵抗はなかったのだろうか?

 どうもお疲れ様でした。

 
  


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